高校演劇用第二弾

どうもどうも、あとがきではお久しぶりです。一年に一本のペースでのろのろ運転の尾道太郎です。

高校演劇用として書いた「うそんせ」が案外と好評なので、調子に乗って二匹目のドジョウを狙って書いた今作。男1女2の三人芝居。男役があることを除けば弱小演劇部の強い味方。となってるはずです。

だってさ、少人数で60分で高校演劇部が舞台でとくりゃ飛びつかない訳ないでしょう。で、飛びついたときにはたと困る高校が出てくるのも事実じゃないのかな。それは、卓郎の存在。おそらくは、卓郎を男役者がする事はまずないだろう。となればテキストレジをするか、女の子がやってしまうかの二択。

個人的にはテキストレジをして女の子がやっても不自然でないようにしてくれるのがいい。どうしたって女の子が男役をするのには無理がある。少なくとも、大学出て数年のむっさい兄ちゃんは女の子には出来ない。少年役なら良かったんだけどね。ま、好きにやってくださいな。

一応三人芝居なんで、二人芝居の「うそんせ」よりは間が持つ確率は高いはず。人の出入りはそんなに頻繁ではないが、組み合わせのバリエーションでどうにか…というところか。演出としては前・中盤でどれだけ間が持ってくれるかという部分と、後半にどれだけ力押しが出来るか。それから、今回意図的に「暗転」というト書きをなくしてみました。本来は暗転だろうという部分でもあえて書きませんでした。これも一場一幕が好きな高校生に向けて自分なりにやってもらおうという配慮です。

高校生向けというのを書こうと思った当初の理由は、弱小演劇部がつまらないという理由からでした。そして、同じ高校生向けを名乗ってる今作は少し思いも変わってきました。ま、「うそんせ」から三年もたてばそうですわな。なんというか、とりあえず楽しんでもらいたい。高校演劇部を舞台に持ってきたのも、暗転を書かなかったのも、いろいろ考えながらやってもらいたいと思ったからです。だからといってむやみやたらに解釈の幅を広げる事はせずに、それなりの流れを作っているつもりです。

ま、この作品のコンセプトが「尾道太郎が外部指導員になったら」て事で始めたものですから、おそらく尾道太郎の外部指導員は卓郎みたいな感じです。(いや、だいぶ違うか)
あんまり手出しをせずに、高校生が考えたことを尊重してやっていくんじゃないかな? どうだろ。

だから、主題というか書きたい思いよりはコンセプトの方が強く出ている作品じゃないかなと思います。ま、思いとしては「弱小演劇部の芝居なんてつまらないけど、それでもいろいろありながら頑張ってんだぞー」ってな感じでしょうか? なんかね、へぼ芝居はへぼ芝居だけど、その裏側とかのぞいたら結構それなりにドラマもあるんだろうねって事だよ。そのいろいろを書きたかったのかなって思う。

どうしたって一回でも作る側に立っちゃったら、面白い面白くない好き嫌いでは図れないものが出てくるってもんよ。こちとら弱小演劇部の大先輩なんだから! 芝居がちゃんとできる状況ってのは高校生風情じゃなかなか難しい。この「ちゃんと」って意味が伝わりにくいかもしれないけど、なんとか読み取って。

登場人物だけど、卓郎はボクな訳よ。で、ちひろとさなえもモデルはいるんだけど、とある高校生。見ていて「これだ!」ってインスピレーション受けてそのまま形になったって感じ。もともと、知的で皮肉屋と馬鹿で楽天家って組み合わせはありがちだけど、なんと言うか久しぶりに使ってみたい役者だと思ったのがモデルになった一番の理由かな。(性格は、ちひろとさなえかどうかは分からない)

あとね、これまたコンセプトの話なんだけど。タイトルの「きみがせ」……これね、君が代をちょっともじったと言うか変換したというか、そういう形なのね。「君の世界=きみがせ」みたいな。なんで君が代を出したかってね。高校生に君が代歌わせて見たかったのよ。結構カルチャーショックだったんだけど、よその県じゃ君が代とか学校で教えてるんだってね。俺、広島出身だから歌えないや。

ま、こういうことです。

そんなこんなでお届けしました「きみがせ」…お気に召しましたでしょうか。なにぶん至らない点も多いかと思いますが、ご指摘・ご感想などお待ちしております。

PS その後の三人。ちひろはセンターマジックで見事山大の人文学部に合格。さなえは順当に山大の教育学部へ。二人は演劇部に入って活動中。卓郎は、部員のいなくなった演劇部の指導員でなくなって、今はフリーター。ひそかに教員採用試験の勉強を始める。


2008/6/12




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