最後の花道

どうも、今回は珍しく新作アップの直後にあとがきです。

英雄未満。英雄になりたいけどなれない人たちの物語。……って、言ってみたところで手直しは必要なんですが。実際、あとがきも手直しした後にのっけようと思ったんですが、とりあえずそれを待つと後半年は上がりそうにないので今やります。

このお話、人数は5人と、僕のスタイルの中ではオーソドックスな部類です。登場人数もバランスよく、尾道太郎の本領発揮かというような構成。しかし、舞台設定が現代という事で、やっぱ苦労しました。

とくに演劇を扱った作品なので、余計にいろいろな雑念が入り、結果思うような作品には至らなかった次第です。ホント、演劇で演劇の事を扱うのって難しい。

で、これを書き始めたのが丁度、僕が山口を離れるちょっと前、最後の公演を終えた直後でした。そのときから、いろいろと思うことについてはあったのです。だから、演劇を扱ったのですよ。難しいとは知りながらもね……

実際、こんなに難しいとは思っても見ませんでしたが。

この台本、演劇に対する僕のいろんな葛藤が見え隠れして恥ずかしいです。「下手は舞台に立つべきか」とか「演劇を続けていく事はどういうことか」とか、諸々の考えが表れてて……

もっとも、そんな事をいちいち考えてたから、作品のバランスをとり損ねたのだと思います。この辺りは、重々反省します。

僕の最後の公演はとても楽しいものでした。ですが、「やっぱり、役者向いてないわ」とも思いました。ひょっとすると演劇自体に向いていないのかもしれません。それでも、やっぱり、楽しいものでした。

その舞台が約二年ぶりの役者ということもあって、やっぱりどこかぎこちなかったでしょうし、いろいろとへちょかったと思います。んで、共演者の人たちを見回して、「やっぱ上手い人はうまいなぁ」とちょっとうらやましげに眺めてました。

「あんた、そんなことしてたんかい!」って、言わないでよ、演出さん;

で、上手い人はやっぱり上手い訳で、そりゃ、それなりの努力とセンスと経験があってこそのものなんだと思います。ですから、上手い人は上手い人なりの葛藤があったのかもしれません。僕と共演したことで、やりづらい思いをしたかもしれません。

その責任は、人事権のある演出に問いただしてください。

ともあれ、あまりにも思い入れの強かった最後の公演。この直後に、台本を書き始めて、一旦書き上げて手直ししたのが、この英雄未満。手直ししたとは思えない出来です。自慢になりません。

出来上がった当初は、あまりに思い入れが強すぎて、台本の出来不出来がわからなかったくらいですから、こりゃよっぽどです。重症ですね。

そんな、当作ですが、これからも手直ししてより良い台本に仕上げていくつもりなので、よろしくお願いいたします。
この台本で、最後の花道を飾る役者さんが出てくるとすれば、こんな幸福な事は無いと思います。

……まずは、使ってもらわないとな。


2005/10/6




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